佐藤・小野・三宅ダンススクール公式ブログ

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荘司連投最終。タンゴⅢ(大作)

ピアソラは実にたくさんの曲を作っています。
今回は怒涛の曲紹介(長いので覚悟してください!)
 
有名なものでは
リベルタンゴ

「五重奏のためのコンチェルト」
 
四季シリーズ

天使のシリーズ
「天使のイントロダクション」
「天使のミロンガ」
 
「天使の死」
「天使の復活」

これに対応した悪魔のシリーズなど色々です。(悪魔のシリーズはCDになっているものが少なく、
「ニューヨークのアストル・ピアソラ」に3曲が収められているくらいしか記憶にありません。)
悪魔といっても、これは本当の悪魔というよりバンドネオンのことだと思われます。
なぜなら、
バンドネオンはその習得の難しさ(鍵盤が左33個右38個合計71個ある)から
「悪魔が発明した楽器」と呼ばれているのです。
「悪魔のミロンガ」
「悪魔のタンゴ」
悪魔というと、
オペリータ「ブエノスアイレスのマリア」を思い出します。
(オペリータとは多分、ピアソラの造語でしょう。「小さいオペラ」という意味です。
ピアソラは造語や比喩が好きなようで「リベルタンゴ」も「リべルタ(自由)」と「タンゴ」をくっつけたものです。)
 
ブエノスアイレスのマリア」の中でも
ストーリーテラーであり、主人公のマリアをかどわかす小悪魔を、擬人化したバンドネオンが裏切ったりするところがあり面白いです。
 (「悪魔をやっつけろ」という曲もこの辺からきているのかなぁ?なんて思いますが、
この言葉はスペイン語で「どうにでもなれ!」と慣用句でもあるらしいので色々含みがあるようですね。)
 
で、この「ブエノスアイレスのマリア」の中に色々な曲がありますが、
有名なのは「私はマリア」と「フーガと神秘」という曲です。
 
この組曲の中にフーガとかトッカータという言葉が混ざっています。
これは完全にバッハの「トッカータとフーガ」を意識して作っていると思います。
ピアソラはクラシックの構成とJAZZの要素をタンゴに用いた新しいタンゴ(Tango Nuevo)を作ったので、
クラシックの曲を意識した曲も多いのです。上で紹介した「四季シリーズ」もそうです。
 
フーガとはひとつのテーマを音階をずらして続け、その上に次のメロディーを乗せるという形式の曲です。カノンと似ていますね。
トッカータとは元々「即興曲」という意味ですが、段々と、技巧を見せるための速い曲という意味になってしまいました。(クラシックでも即興曲があったのですが・・・って話は前にもしたっけなぁ?)

で、曲の紹介
「私はマリア」
 「フーガと神秘」
 
このオペリータの話の内容ですが、
 
ストーリーテラーである小悪魔が、亡きマリアの声を呼び寄せるところからこのオペリータは始まります。
やがてギターに併せ、マリアの声が帰還。
 
小悪魔はマリアの出生を語ります。
「場末の川が無にそそぐところで幼子マリアは7日間で成人した。その時からブエノスアイレスのマリアは『忘却の女』だった。」
 
暗いノスタルジーを持つ、蘇ったマリアの声に恋する雀のブエノスアイレス男?が歌いかけます。
でもマリアは夜の世界に逃げるのです。そしてバンドネオンの嘆きの声と共に転落していきます。
小悪魔は、裏切り者のバンドネオンと決闘し、刺し殺してしまいます。
マリアは下水道へ降り、そこに住む盗賊やマダムから『永遠にさまよう刑』を言い渡されて、マリアは死んでしまいます。

マリアの葬儀の様子。
埋葬された、マリアの「影」が動き出し、ブエノスアイレスの町を徘徊します。
 
マリアの影は、煙突や街路樹宛ての手紙を書いたり、
精神分析医のサーカスで少女時代のことを思い出さされて苦しい思いをしたり。
マリアの影は歌います。「私はマリアの影。いつまでたっても影。いつまでたっても処女なの。」
 
小悪魔はピアノと共に、ミロンガのカウンターからマリアを呼び続けます。
そして仲間に頼み、マリアの影が受胎する種を送るのです。
 
やがてマリアの影は身ごもったことを知って歌います。
「私は満ち溢れるたくさんの優しさ!たった一つの優しさから、私は神様だって生める!」
ブエノスアイレスのある日曜日。ビルの上でマリアは幼子マリアを出産します。
 
そうして物語は永遠に続くのです。
 
組曲の1つ1つの題は
 
アレバーレ~ALAVARE
マリアのテーマ~TEMA DE MARIA
おかしなオルガニートへのバラード~BALADA PARA UN ORGANITO LOCO
カリエーゴ調のミロンガ~MILONGA CARRIEGUERA
フーガと神秘~FUGA Y MISTERIO
ワルツによる詩~POEMA VALSEADO
場末のトッカータ~TOCCATA REA
ミゼレーレ・カンジェンゲ~MISERERE CANYENGUE
葬送コントラミロンガ~CONTRAMILONGA A LA FUNERALA
暁のタンガータ~TANGATA DEL ALBA
街路樹と煙突に寄せる手紙~CARTA A LOS ARBOLES Y A LAS CHIMENEAS
精神分析医たちのアリア~ARIA DE LOS ANALISTAS
小悪魔のロマンサ~ROMANZA DEL DUENDE
アレグロ・タンガービレ~ALLEGRO TANGABILE
受胎告知のミロンガ~MILONGA DE LA ANUNCIOCION
神のタンゴ~TANGUS DEI
 
タンガータとかタンガービレも多分ピアソラの造語でしょう。
 
興味のある方はこちらの動画をどうぞ。
でも長いですよ。興味のない方は一気に下へ。
ぁ、小野先生と幸恵先生は是非見てください。
(もしかしたら、もう見ているかもしれないけど…ついでに上に書いたストーリーの要約も見てね^^)
 
Maria de Buenos Aires part 1
Maria de Buenos Aires part 2
 
Maria de Buenos Aires part 3
Maria de Buenos Aires part 4
Maria de Buenos Aires part 4
Maria de Buenos Aires part 5
Maria de Buenos Aires part 6
Maria de Buenos Aires part 7
Maria de Buenos Aires part 8
タンゴの持つ「場末感」がたっぷりですよね~。タンゴを踊るダンスホールのことをミロンガというのですが(ミロンガというジャンルの曲や踊りもあります。)、その退廃した感じがとてもよく伝わってきます。
アルゼンチンは、開拓されてある程度町が発展してからも、移民の国なので男の人ばかりになり、女の人が足りません。
それを埋めるために踊り子さんや歌姫さん達がミロンガに居て、男の人は我先にと足を向けたのでしょうね。
タンゴを踊れないと女性に相手をして貰えなかったらしいです。
 
今でも若い人達もタンゴを踊るようですよ。老若男女タンゴを踊るなんて素敵ですね。
(ぉ。何とかタンゴの歴史としてまとまった。)
 
これで荘司の3連投稿おしまい。
 
今度は何を書こうかなぁ?